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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    一瞬を切り取る?

    Maki17 ブログ用 (2)
    「 Maki'17 」松田光司 作 h42×22.9×28.5cm

    「一瞬を切り取る?」・・・・いや、一瞬を切り取ってなどいないのだ。


    先月開催されていたギャラリーguildの個展でお客さんと会話する中、フッと出て来たお客さんの言葉・・・

    「この彫刻って一瞬を切り取っているんですね。」・・・という一言。

    瞬時に私は 「いや、そういう事ではないんですよ。」 とその言葉に反応してしまった訳だが、その理由は以下のような事。


    立体としてそこに動かず静かに存在する彫刻。

    そこには「時間の止まってしまった存在としての彫刻」があるような錯覚を起こすが、実はそうではないのだ。

    その彫刻の中にはある一定の時間が凝縮され刻み込まれているのである。

    分かりやすく言えばその彫像の制作時間・・・数週間だったり数か月だったりその時間の中にモデルとなった人の思いや作り手となった人の思いが蓄積されているのである。

    さらに言うならば、制作時間という時間だけではなく、モデルの人生、作り手の人生までもがそこに刻み込まれているのだ。


    つまり決して写真のように一瞬を切り取ってなどいないという事。


    実際面白い事に、見る側にも色々な感情が湧き起こるようなのである。

    これはその彫刻を見る人によって見え方、感じ方が違う・・・・という話ではなく、一人の人の中で見え方、感じ方が変わるという事実があったりするという事。

    「最初に見た時は悲しげに見えたけど、あとから改めて見たら実は喜びを内に秘めているように感じた。」とか、

    「なんか気になるなぁと思ってずっとこの作品見ていたら、喜怒哀楽すべて含んでいるから気になるんだって分かった。」とか。

    鑑賞する側も無意識にその彫刻に封印された時間、年月を感じ取っていたりするのである。



    一見、固定化されてしまったように見える彫像には、実は凝縮された濃厚な時間がいっぱい詰まっているのだと思ってそれを実際目の前で感じてみて頂きたい。
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    1. 2019/10/28(月) 10:40:41|
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