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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    「 一枚の写真 」。

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    今日はこの一枚の写真にまつわるお話をひとつ。
    これはギャラリー渓で個展開催中のお話。



    実はこの写真に写る14~5㎝の彫塑頭像・・・30年前に私が制作したもの。

    当然この作品は今自分の手元にはなく、こうして画像として見るのも30年ぶり。

    この貴重な写真を持って個展会場にやって来てくれたのは池田さんという同世代の女性。
    会うのも30年ぶり。

    この女性、実は私が大学生の頃、上石神井西中学校での教育実習で一緒になった女性なのだ。

    当時、美術の授業で中2の生徒に彫塑を教える事になったのだが、やはり参考作品が必要だと思ったのである。

    ・・・とその時、私の前に座っていた教育実習生仲間の二人の女性に目がとまり、急きょモデルをお願いし制作したという訳なのだ。

    その二人の内の一人が今回個展に来てくれた池田さんだったのである。

    それは授業の合間をぬったわずかな時間・・・そう、この彫像の制作時間はたった15分ほどであったのだ。

    とりあえず頭像としての塊だけでも捉えなければと必死に作った記憶があるのだが・・・30年ぶりにこの写真を見て思った事は・・・『あれ?こんなに作っていなかったっけ?!』・・・である(笑)。

    まあでもたった15分とはいえ、確かに私がエネルギーを込めて作った作品・・・こうして自分の個展会場で再会出来たのは偶然とも思えずとてもうれしい。


    さてこの一枚の写真、『懐かしいなぁ。』というだけの話で終わると思っていたのだが・・・
    話し続けるうちに池田さんの口から意外な事実を聞く事になるのである。


    それは池田さんのお父様のお話。


    この彫塑作品、短時間とは言えせっかく作ったものなので教育実習の記念に池田さんにプレゼントしたのである。

    それを池田さんが家に持ち帰ると、お父様が「将来凄い価値が出るかもしれないから絶対に取っておけ!」と、ず~っと大事にしていてくれたとの事。

    それ以来お父様は、『松田さんがまた○○にモニュメントを設置したぞ。』とか、『松田さんがまた個展やるみたいだな。』とか、いつも凄く気に掛けてくれていたのだそう。

    しかし申し訳ない事に、私はそんな事は一切知らない。
    過去に私の個展会場で池田さんのお父様に会っていたかもしれないのだが、・・・正直記憶にない。

    なおかつ池田さん自身も何度も私の個展に来てくれていたのだが、たまたまどの個展の時も会えていなかったのだ。

    ようするに私はこの小さな彫塑頭像をきっかけにつながっていた池田さんご家族の事に思いめぐらす事は一度もなかったという事。


    しかしそのあと池田さんの口から出た最後のお話に私は言葉を失う。


    数年前、
    池田さんのお父様は病院のベットに臥していたのだ。

    そしてそのお父様が娘である池田さんに向かって言った一言、
    『どうしても学士会館の松田さんのモニュメントが見たいんだ、連れて行ってくれ。』・・・と。

    池田さんはその言葉を受け入れ、お父様を病院から車で連れ出し、その願いをかなえてくれたのだとか・・。


    まさかこのたった一枚の写真からそんなお話を聞く事になるとは・・・


    池田さんのお父様が亡くなる前に 見たいんだ! と言ってくれた彫刻・・・
    はたして池田さんのお父様はどんな思いで学士会館のモニュメント(日本野球発祥の地モニュメント)を見てくれたのであろうか。

    池田さん、本当にありがとう!

    あの小さな頭像も大切に取っていてくれて本当にありがとう!

    池田さん!遅くなってしまいましたが、お父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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    1. 2018/02/24(土) 10:43:15|
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