彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    実は複数ある?・・・「日本野球発祥の地モニュメント」の像。

    日本野球発祥の地モニュメント(ブロンズ像)松田光司 作

    当然、「日本野球発祥の地」と呼ばれる場所は「学士会館」(東大跡地)の一ヶ所だけ。
    ・・・では像が複数あるとはどういう意味なのか?


    ちょっと衝撃的なタイトルにしてしまったが、まあこれはミステリーでも何でもなく作品制作の工程上、当然出て来る結果なのである。


    まず簡単に彫刻の制作工程について説明したい。

    普通に彫刻を制作する場合というのは、つくりたい大きさそのままのサイズで芯棒を組み、それに粘土をつけて制作していく訳なのだが、これが等身大以上の大きな作品になるとちょっと事情が違ってくるのだ。

    いきなりその大きなサイズで制作し始める事はまずないのである。

    実は最初に、「エスキース」と呼ばれる縮小サイズの作品を制作するのだ。

    彫刻家によっても考え方は違うのだが、私の場合エスキースというのは、かなり細かいところまでつくり込む事にしているのである。

    つまり、大きな作品をつくるための単なる補助としての存在という訳ではなく、それそのものを独立した作品として成立させてしまうという事。


    ・・・と言う訳でこの最初の段階で「日本野球発祥の地モニュメント」の像が(小さいものだけど)一つ出来上がる訳である。(下記写真)

    日本野球発祥の地モニュメント(エスキース)松田光司 作


    さて次は・・・。

    この小さくつくった像(エスキース)を元にしながら、新たに大きな像としてつくっていく訳だが、当然いきなりブロンズ(銅)の塊を削り出していってつくる訳ではない。

    まずは粘土、もしくは石膏(直付け)で制作をしていくのである。

    作品設置の最終段階としてはブロンズ像となる訳だが、私のアトリエ制作段階での仕上げは石膏像として完成させる訳である。

    その完成された石膏像原型をブロンズ屋さんに持ち込み、そこでその石膏の像をブロンズの像にするべく作業を行い、最終的にブロンズ像として完成させるのである。


    さてでは、その時持ち込んだ石膏像原型はブロンズ作業終了後どうなるのであろうか?


    ・・・実はこれがまるまるそのまま(ほぼ壊れることなく)残るのである。

    この残った石膏像原型で、新たに2点目、3点目のブロンズを抜く事が出来る訳だが、・・・「日本野球発祥の地」の場合、モニュメントとして欲しいブロンズ像の数は一つだけ。

    つまりこの石膏像原型は一つブロンズに抜いた事により、もうその役割を果たし終えてしまった状態になってしまった訳である。


    さてこの、いらなくなった石膏像原型の末路は・・・?


    悲しいのだが、よくあるパターンとしては、壊してしまってゴミとして捨てて終わり。

    当然、何だかもったいないし、心苦しい訳である。

    ・・・で、この時私はモニュメント制作依頼主である「野球体育博物館」と「学士会館」の両方に『どうしましょうか?』と問い合わせた訳である。

    答えはやはり両者とも 「えーっ、壊すんですか!もったいないですね。」・・・といったもの。


    ・・・その結果、「学士会館」の方で「ぜひ学士会館で引き取らせて下さい。」・・・と言う事に。


    つまり、外にブロンズ像として設置された「日本野球発祥の地モニュメント」以外に、石膏像としての「日本野球発祥の地モニュメント」が学士会館の中に納められるという結果になった訳である(場所はその時々により学士会館の中を移動・下記写真は2004年に撮影)。

    日本野球発祥の地モニュメント(石膏彩色) 松田光司作


    ・・・こうして、像は3点存在するという結果に。


    最初の小さな像(エスキース)は、野球体育博物館の展示室ウインドウの中。
    そして彩色された大きな石膏像は学士会館の中。
    さらにモニュメントとしてのブロンズ像は学士会館の外に設置。


    ・・・以上、作者からの「日本野球発祥の地モニュメント」に関する豆知識でした。
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    1. 2013/02/23(土) 21:06:44|
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