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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    「 石雛 」。

    石雛(1) 松田光司、一恵合作
    「 石雛 」 ( 高さ27.5㎝ 幅21.7㎝ 奥行き30㎝ )  松田光司、松田一恵 共同制作

    さて、20年近く前の話。


    当時の我が家は一切の生活のゆとりもなく、また贅沢品を買うなどもってのほか、という感じの暮らしをしていたのである。

    当然の事だが、子供のために雛人形を買ってあげられるようなお金などある訳もなく、また、もし買えたとしてもそれを飾れるような広いスペースも無かった訳である。

    まあ、普通だったらここであきらめてしまうのかもしれないのだが、・・・彫刻家である私と、画家である妻は違った。


    「だったら、我が家でも飾れるような小さいサイズの雛人形作るか!」・・・となったのである。


    しかし、そこは芸術家の二人の事、・・・小さく作るからと言って、絶対につまらない感じにはしたくなかった訳である。

    ・・・で、考えついたのが、上写真の「 石雛 」。

    主な材料は「自然石」と日本画材料の「岩絵の具」。

    私が立体部分のすべてを担当し、妻が彩色のすべてを担当したのだ。

    実際にはこの写真の20~30倍の量の自然石を用意し、それぞれの形にもっとも適した石を選び抜いた訳である。

    顔と体は、石同士を接着剤で軽く付けただけなのだが、その後、岩絵の具を塗り重ねる事によって、かなり強く接着されるのである。


    私は立体部分担当だったので、比較的早い段階で制作を終わらせる事が出来たのだが、大変だったのが妻。

    なにしろ見ての通り、無茶苦茶細かいのである。

    しかも、半端ではない回数、色を塗り重ねて着物の柄を描いていったのである。

    顔も気に入った顔にならないと言って何度描き直した事か・・・。


    結局、およそ一ヶ月の間に数回の徹夜を挟んで、ぎりぎり3月3日に何とか完成。


    まあ、今となっては良い思い出なのだが、・・・こうして石雛を飾るたびにあの怒涛の一ヶ月の記憶が、喜怒哀楽入り混じり鮮明に甦ってくるのである。


    ・・・そして今、

    何よりうれしいのが、子供がこの「 石雛 」をものすごく気に入ってくれている事、・・・それが我々夫婦にとって一番の報酬であったのだ。


    石雛(2) 松田光司、一恵 合作お内裏様とお雛様部分の拡大写真。
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    1. 2012/03/03(土) 22:21:36|
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