FC2ブログ

    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    彫刻家のアトリエにて、・・・。

    ある日の雲 撮影 松田光司

    何度かこのブログでもふれているが、私が20代の頃は、色々な彫刻家の手伝いをしたものである。('10.6.19'10.7.20参照)


    どの彫刻家の先生も個性的で魅力的な方々ばかりであったのだが、アトリエを訪れると、その先生方の新たな一面を垣間見る事が出来たものであった。

    今日は、大学の恩師、細川宗英先生のアトリエで手伝いをした時の事を少し書いてみたい。


    初めて、細川先生の自宅アトリエを訪ねた時、まず驚いたのがその整然とした綺麗な空間。

    今現在、彫刻制作中であるにもかかわらず、粘土一つ落ちておらず、展示空間かと思われるほど、アトリエが美しく整っていたのである。

    当時は、大学の雑然として決して綺麗とは言えない学生のアトリエにすっかり慣れ切っていたため、その落差に随分と驚かされたものであった。

    細川先生がおっしゃるには「これでも、ゴチャゴチャしてると思うんだけど、昔よりは気にしないようになったかなぁ。」・・・との事。

    自宅アトリエでの細川先生は、にこやかでゆったりとしておられ、話をしだすと止まらなくなるのだ。

    普段、大学のアトリエでも細川先生は、学生を笑わせるような面白い話をして下さるのだが、自宅アトリエだとよりその話も具体的で輪をかけて面白く、また彫刻に関するお話もいっぱい聞く事が出来、これほど楽しい手伝いもないと思ったものである。


    さて、実際そのアトリエでの制作の手伝いはどうであったのかと言えば、・・・。


    細川先生もアトリエにずっとおられる訳でななく、私一人が粘土の荒付けをしている時間が結構あったのである。

    そんな一人での制作中、芯棒の針金が少し長かったので切る事にしたのだ。

    しかし、切ったはいいが、初めての手伝いの日であったため、それをどこに捨てて良いのやら分からない訳である。

    そこで、塑像制作台の端にそっと置いておいたのだが、細川先生がアトリエに戻ってこられた瞬間に、切り取られた針金を指さしながら「これは長かった?」と聞いてこられたのだ。

    要するに、塑像台もその周りもものすごく綺麗にしてあるため、その針金の切れ端一つでも目立って見えてしまった訳である。


    やがて一日の制作を終え、片付けをしようとしている時に知ったのだが、塑像台はもちろんの事、コンクリートの床まで先生の奥様が毎日雑巾がけをされていたそうなのである。

    道理で綺麗な訳だ・・・脱帽。


    最後にもう一つ・・・。

    「松田君、この小割り(塑像の時、粘土ベラのように使う小さな棒切れ)は絶対に洗わないでね。この微妙にこびり付いた粘土が作品制作に生かされるからとても大事なんだ。」・・・との事。


    いやー、今更ながらに細川先生は本当に凄い先生だったなぁ ・・・もっともっといっぱい手伝って、もっと色々なお話をお聞きしたかった。
    スポンサーサイト



    1. 2011/12/30(金) 10:52:25|
    2. 彫刻
    3. | トラックバック:0
    4. | コメント:0
    <<役割。 | ホーム | 視点。>>

    コメント

    コメントの投稿


    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    トラックバック URL
    http://mitsuji415.blog28.fc2.com/tb.php/591-7020750c
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)