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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    褒めると、・・・。

    晴れた日の春日井市 撮影 松田光司

    時と場合にもよるが、基本的に私は学生の作品について指導する時に、良い点を伸ばそうと思って指導しているのだが・・・。


    今回の話は、学生に塑像を教えるようになってすぐの頃、経験した話である。


    それは、制作途中の作品を「褒める」という事について・・・。


    授業では、制作途中の作品について、私が学生一人一人まわって指導していくのだが、塑像作品(粘土による作品)というのは、途中途中にものすごく魅力的な形や迫力ある形が出てきたりして面白い状態があったりする訳である。

    そんな時、私は思わず 「おおっ!いいねぇこの感じ、すごくいいよ。このまま進めて行ってよ。」
    などと言って褒めたりするのだが、・・・その後に「ん?」という出来事が、・・・。

    次の週の授業の時に、その褒めた学生の作品を期待して見てみると、・・・先週の状態からほとんど変わっていなかったりするのである。

    ・・・で、「あれ、先週からあんまり進んでいないみたいだけど、何か特に問題でもあった?」と私が聞くと、

    「いえ、特にはないですが、・・・。」と、ちょっと困ったような返事で、学生も何故だか自分自身ではよく分かっていない感じなのだ。

    ・・・この時、ふと思い出したのである、
    『そう言えば、私も学生の頃似たような経験をした事があったなぁ。』・・・と。


    そうなのである、・・・実は原因というのは褒められた事によるものであったのだ。


    要するに学生からしてみると、ほぼ初めて経験する塑像制作の授業で、何がいいんだか悪いんだかよく分からない状況のまま制作を進めている訳である。

    そんな時、先生がまわってきて、「おおっ!いいねぇ・・・」なんて言うものだから、『何かよく分からないけどいいんだこれ。』とか思ってしまう訳である。

    そしてさらに、
    『・・・でも何がいいんだか分からないからヘタに進めると、いいって言われた部分が消えてしまうかもしれないなぁ。』などという事も思ってしまったりするのだ。

    ・・・で、そうなってしまうと、途端に臆病になってしまい、自由に手も出せなくなり、伸びやかさもなくなってしまうという事がおきたりする訳である。


    こういった経験から、『なるほど、ただ褒めればいいというものでもないのだ。』と改めて思った訳である。

    これ以降、褒める時は気を付けるようになり、より具体的な内容について褒め、より作品を進めていく事が出来るよう指導していくようになっていったのであった。
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    1. 2011/10/24(月) 19:22:58|
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