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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    作品とは?

    厳美渓の水べり 撮影 松田光司

    今日は学生と話していて「自分にとっての作品とは?」という話題になった。


    以前に「彫刻とは?」という題材で書いているので、多少、かぶるかもしれないが、少し書いてみたいと思う。
    人それぞれ色々な考え方があるし、自分自身の事を考えてみても、一つにおさまり切らない感じはある。


    まず、よく言われるのが「作品とは自分の子供のような存在。」・・・といったもの。

    確かに私の中にもそういった感覚はある。

    しかし、「自分の子供」という言い方が、まるで「小さな子供を社会にふれされる事が不安でそれを見守る親の立場」・・・のような感覚に思う人もいるかもしれないが、それは全くの大間違いで全然違った感覚なのである。

    私からすれば、作品が「自分の子供のような存在」と言っても、それは「完全に成人となり、たくましい大人となった状態の自分の子供」という意味であり、正直、不安げに見送る事はない。

    『今、伝えられる事はすべて伝えたから、あとは勝手に自分の道を進んでくれ。』・・・といった感じなのである。


    この視点から考えると、「作品とは自分の分身のような存在。」・・・という考え方も同じような感覚であろうと思う。

    このとらえ方で面白いなと思えるのが、「 作品 = 分身 」という事はつまり、20歳の時には20歳の分身が残り、40歳の時には40歳の分身が残される訳である。

    要するに作品を振り返ると、分かりやすい形で過去の自分に出会う事が出来る訳である。

    これは私の中でも確かにあるなぁと思える感覚である。


    さて、次に思うのが「作品とは自分から放出されたエネルギーの塊である。」・・・といったとらえ方。

    これは「彫刻という塊」を普段から制作しているので、余計にそう思えるのかもしれない。

    その時々で、静かだったり激しかったりと色々なパターンがあるが、ある一定以上のパワーを出し続けながら作品が完成する訳である。

    当然、彫刻などは一瞬で出来るようなものではないので、数週間、数か月といった長期に渡るエネルギーが作品に凝縮された形となって姿を現す訳である。

    それはどう考えても「エネルギーの塊。」と言っていいものであろうと思われる。


    さらに言うと「作品とは自分がどのように生きてきたのかという結果が形となって現れたもの。」・・・といった言い方。

    これはよく学生にも言うのだが、例えば、「3か月かけて完成した作品は、3か月がんばった成果が出たもの。」と思ってしまいがちだが、実はそうではないのである。

    問われるのは3カ月の成果ではなく、かりに20年生きた人であれば、20年間どのように生きてきたのかという事が、その作品を通し問われる事になるのである。

    作品とはその人の生きざまがそのままストレートに出たものだと考えられる訳である。

    つまり、たとえ3時間で描いたデッサンだとしても、10分で描いたクロッキーだとしても、そこにその人の人生が刻み込まれているという事なのだ。



    さて、色々書き出してみたものの、正直「作品とは?」と漠然と大きなテーマで考えてしまった場合、全く別な観点からいくらでもまだ書けそうなので、今回はこれくらいにしておこうと思う。

    またいつか違う切り口で書いてみたい。
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    1. 2011/10/14(金) 22:04:18|
    2. 芸術
    3. | トラックバック:0
    4. | コメント:2
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    コメント

    子どもとは時間を表す 作品とは永遠の時間を表すんですね

    松田さん 6月のお礼も言わずすみません。作品は子どものようだと。ちょっと話が松田さんのおっしゃっていることと離れますが、僕は子どもを育てる仕事。子どもは時間を表す概念なんですよね。アリエスさんという偉い人も言っています。子どもたちには、それぞれ一人ひとりの論理がある。たとえ不良と言われる子どもたちにもです。僕はその論理がたとえ一般通念からは間違っていると言われてもまず、聞いてみたい。その叫びに耳を澄ませたい。それが何になるのかは僕にはわかりません。でも、この前、春日井で開かれた個展で一つ一つの作品をみて、この女性は、この女の子は何を語っているんだろうと耳を澄ませてみました。干支の作品は、作品が語りかけてくる前に松田さんはむちゃくちゃ技術があるんだなとは感じましたが、私自身の正月のイメージがあり、うまくいきませんでしたが(笑)。女性の作品が語りかけてくる言葉を確かに感じました。僕は、マンレイやミロが大好きな体育の先生なんですけど具象だか抽象だか知りませんけど、松田さんの作品に、確かに声が聞こえました。その声を聞きとる・・・聴きとる・・・もっと言ったら耳を澄ますことが大切だと今回の個展で感じました。ありがとう!!僕はずっと松田さんを応援しますよ。偉そうでたいしたことないから、あんたに応援されてもなぁって思ってるかかもしれませんが(笑)
    1. 2015/07/31(金) 19:47:00 |
    2. URL |
    3. 吉田 勝俊 #-
    4. [ 編集 ]

    Re: 子どもとは時間を表す 作品とは永遠の時間を表すんですね

    吉田先生、こちらこそ6月の個展ではありがとうございました。
    子供に対する吉田先生の考え方、とても素敵ですね。
    おっしゃる通り、それぞれ一人ひとりの声を聞くというのは本当に大事なことだと思います。(それこそ100人いれば100通りですよね。)
    あと作品の声にまで耳を傾けて下さってありがとうございます!
    それこそそんな鑑賞の仕方をしてくれるなんて作品達もきっと喜んでくれたと思います。
    僕も無茶苦茶うれしいです。
    それと吉田先生の応援、とても心強いですよ。
    期待に応えられるようますます彫刻に打ち込んで行きますね。
    これからも末長くどうぞよろしくお願い致します!!

    1. 2015/08/28(金) 11:36:31 |
    2. URL |
    3. 具象彫刻家 #-
    4. [ 編集 ]

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