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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    石彫の授業、・・・やはりノミ作りから?Part2

    厳美渓の水面と岩 撮影 松田光司

    さて、昨日の続き、はたして通称「とうふ」と言われるものとは一体何なのか?


    まあ、1日またいで引っぱるほどの事でもないのだが、
    「とうふ」とは、簡単に言ってしまえば、一辺が30~35cmほどの立方体を石で彫るというもの。
    (素材の石は神奈川県の真鶴で採れる小松石。)


    実はこれもやはり、石工職人のような世界なのである。

    今現在、石屋さんなどでは、石で立方体を作る時、大きな機械カッターで6面切ってしまってあっという間に終わってしまうのだが、当然、昔はそれを手作業で彫っていた訳である。

    ・・・要するに、この石彫の授業では、その昔ながらの手作業の方法論で立方体の形を彫り出してしまおう、・・・といった主旨の授業を行う訳である。


    さて、いよいよ石彫。

    最初は石を真っ二つに割るのだが、これも昔ながらのとび矢というものを使う方法。

    機械も一切使わず、石がああも見事に真っ二つに割れてしまう事に感動。


    次に石に墨で線を引き、それを基準にノミで荒彫りを始めるのだが、・・・当然上手く彫れる訳もない。

    先生はほとんど力を入れずに、石頭(せっとう・石彫専用のハンマー)を振るうのだが、面白いように石がはがれていくのだ。

    しかし我々学生がやっても、最初は力を入れても抜いても中々彫れないし、ノミを持つ左手にも何度も石頭(せっとう)が直撃・・・その痛さたるや想像を絶する痛さで、しばらく声も出ないし、ノミも持てなくなったりしたものである。

    ちなみに手作りのノミはどうだったのかと言えば、・・・焼き入れが上手くいってないと簡単に断裂して折れたり、グニャッと曲がったり・・・その度に鞴(ふいご)で火をおこしノミの作り直し。

    荒取りが終わる頃には、だんだんノミを作る事も彫る事も上手くなっているのだが、左手の腫れとあざの痛みは石彫実習の間、消える事はなかった。


    さて、その段階が終わるとビシャンや刃トンボと言われる道具を使い、ノミで荒取りした面をきれいな平らにしていく作業。

    ビシャンは例えるならば肉叩きの道具に似ており、刃トンボは金槌の片側が平らになり、片側が尖った形になっている感じのもの。

    この段階は、力技というよりも忍耐力の勝負、金定規を当てながら、コツコツと平面を出していくのである。


    次に大変なのが、角出しの作業。

    角面を完全な直角になるよう彫って行くのだが、当然、角が出て来るという事は欠けやすくもなるという事。

    少しでも欠けると、それを直すためには一面すべて彫り下げ直さなければいけないのである。


    まあこんな苦労をしながら、学生の何人かは6面まで進めず終わってしまうのだが、・・・私は必死で頑張り、早く終わってしまった人だけが進める四角い穴彫りの作業まで完成させる事が出来たのであった。(確か穴彫りまで行ったのは3~4人)


    ちなみに私はこの授業が楽しくて、石彫を専攻する事になる訳であるが、確か3年生前期ごろまでは手彫りが基本で、機械工具類を使ってはいけないというルールがあったのだ。

    やがてそれも解禁になり、初めて石用カッターやカップと呼ばれる機械工具を使った時には感動したものである。

    こんなに簡単に石彫が進むなんて、・・・手彫りで1週間かかっていた事も、多分1日で出来てしまうのではと思えるくらいの差があったのだ。

    ちなみにノミも手作りではなく、タンガロイノミという特殊な固いノミ。

    それは、鞴(ふいご)で火をおこし、鉄ノミを熱して叩くといった作業は一切やらなくても大丈夫で、ノミの先端が少し欠けても専用グラインダーで削るだけで簡単に直るのである。


    まあ、作業が楽になればいいというものでもないが、こういった経験が出来たという事は、作品の幅を広げるという意味においても重要な役割を果たしてくれた訳である。

    最初から機械を使っていては見落として気付かないような作品制作の着想や発想も色々あったりする訳である。

    これを無駄だと見る人もいるかもしれないが、経験した側から言わせてもらえば、イメージした形に対し、自由自在に形づくる術を身につける事の出来た、貴重なありがたい時間であったという事なのだ。


    さて、また近々、東京芸大彫刻科の面白い授業について語ってみたいと思う。・・・お楽しみに。
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    1. 2011/09/11(日) 18:49:21|
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