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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    同じ場所でも・・・。

    潮先  松田光司作「 潮先 」

    たとえ同じ場所でも、そこにいつどんな状況で訪れたのかによって、まったく印象は違ったものとなってしまう。


    もうかなり前になるが、仕事で秋田県の男鹿半島に行った時の話である。


    ある宿泊施設に彫刻を設置する事になり、その下見でその場所に行く事になったのである。

    季節は極寒の冬。

    前日から秋田市内のホテルに泊まり、当日は秋田県庁に集合、そして県の職員さんの運転する車2台で男鹿半島へ・・・。

    当然、雪は降り積もっており、どこを見ても真っ白だったのだが、・・・それがやがて吹雪になってしまったのである。

    わずかな道の目印が何とか確認出来るかどうかという状態だったのだが、そこはさすがに地元民
    ・・・・運転は上手く、雪国育ちではない私からしたら、とても真似する事の出来ないスムーズな運転であったのだ。

    ・・・ところが、途中、県の方から連絡が入り、この先通る予定であった道が、崖崩れで塞がれてしまったというのだ。

    もし、タイミングが少しでもずれていたらと思うとゾッとしたが、とりあえず、他の道でも目的地には向かえるとの事。

    やがて、道を変更したせいなのかよく分からないが、カーブのきつい峠道に差しかかる・・・。

    すると、運転には慣れているはずなのに、連続するカーブに何度も横滑りして、道路からはみ出しそうになるではないか。

    左に迫るのは断崖の壁、そして右を見ればガードレール越しに見える崖下。

    ついさっき聞いた崖崩れの情報の事もあり、不安感は徐々に増し、何だか落ち着かない気分に・・・。


    ・・・・と、そんな事を思っていると、目の前にパアーッと日本海の景色が飛び込んできたのだ。

    それは私のまったく知らない別世界であり、非日常の光景が展開されていた。


    重く暗い空を背景に、海は吹雪と呼応するかのようにものすごい勢いで荒れ狂っていたのだ。


    「日本海の荒波」・・・言葉だけでしか知らなかった世界が、想像をはるかに超えた迫力を持って、まさに私の眼前に迫ってきていたのである。

    この時見た光景は、今でも鮮明かつ強烈な映像として、私の中にはっきりと残っている・・・が、
    その後、・・・。


    作品を完成させ、彫刻を設置するため再び秋田を訪れたのは、・・・初夏・・・気持ち良く晴れたある穏やかな一日だったのだ。

    あまりにも景色が違いすぎて、以前に通った道かどうかも全く分からないまま車に乗っていると、
    あっという間に日本海の景色が見える場所に到達、・・・で、その光景は・・・?


    ・・・空はさわやかに晴れ渡り、波もほぼない、・・・『えっ?本当にこれがあの同じ日本海?』


    本当にその落差たるや、どう表現していいものやら言葉も見つからなかった。


    季節による違い、そして自分の心理状況による違い・・・この男鹿半島の事は本当に極端な例であったが、考えてみれば日常生活で何気なく見ている景色でも、あまり意識せず気付かないだけで同じ景色は二度とないのかもしれないなぁ・・・と、今なんとなく思った。
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    1. 2011/09/02(金) 20:25:11|
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