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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    ブロンズ屋で見かけた作品。

    毛越寺の松 撮影 松田光司

    もう20年近く前になるが、当時付き合いのあったブロンズ屋さんに行った時の話。


    ブロンズ屋に到着すると、いつも通り奥さんが対応してくれてお茶を飲みつつ居間で待機。

    大将が作業場からやってくるまで、少しゆっくりするのだが、その居間には色々な作家の作品が所狭しと並んでいるのである。

    石膏作品やブロンズに吹き上がった作品など、毎回行く度に違う作品が置いてあり、そういった他の彫刻家がつくった作品を眺めるのも一つの楽しみとなっていたのである。


    その日も、色々な作品を鑑賞していたのだが、目の前の机に手のひらに乗る位の小さな作品が、・・・。

    ふと気になり、手にとったのだが、・・・じっくりと眺めれば眺めるほど、じわじわと私の中に驚きの感情が湧き上がってきたのである。

    ・・・近くで見たその彫刻は、想像していた以上に素晴らしい作品だったのだ。


    最初、机に置かれた状態で眺めているだけの時は、『仕上げも粗いし、素人の作った作品かなぁ。』ぐらいに思っていたのだが、・・・その後、ある意味、その作者は素人ではない事が分かる。

    やがて、作業場からやってきた大将に、「この作品、どんな人が作ったんですか?ものすごくいい作品ですね!」と尋ねると・・・ニコニコしながら、「分かる?それ、元横綱が作ったんだよ。」
    ・・・これで納得。


    ・・・・その作品とは、力士二人ががっぷり四つで組み合って相撲を取っている姿の作品であったのだ。


    遠くから眺めていると静止しているようにしか見えなかったのだが、手にとって眺めると、何と、ものすごく二人の力士がせめぎ合い、しのぎ合っていたのだ。

    少しでも気を抜いたほうが投げ飛ばされてしまうと思えるような迫力と緊張感がその彫刻を支配していたのだ。

    確かに、つくり手は彫刻家ではないので仕上げは粗いが、芯の部分の形は、相撲の頂点を極めた人だけあって見事なバランス感覚で作られていたのである。


    こういった類いの作品には滅多に巡り合えるものではないが、・・・どんな世界であろうと、頂点を極めた人というのは、やはり何かが違うものだとあらためて実感したのであった。
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    1. 2011/08/24(水) 18:45:46|
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