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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    「作品が上手い」という事について。

    妖精卵 空ー水(部分) 松田光司作「 妖精卵 空―水 」(部分)

    美術の世界において、「作品が上手い」という言葉はだいたい褒め言葉として使われる事はない。


    どちらかと言うと「うまいだけじゃぁねぇ。」とか「こういうのを器用貧乏って言うんだよ。」とか
    あまりいい意味ではつかわれなかったりする。

    そんな前提での話である。そしてこの話は23年前私が学生の頃までさかのぼる。
    当時の彫刻科主任教授が私の制作途中の塑造(作品)を見ながらこう言われた。

    「君は本当に上手いねぇ。僕は10数年間芸大で教えてきているけど、君くらい彫塑(作品)の上手い学生は見た事ないよ。」

    正直複雑な気持であった。『上手いって言われても・・・。』と思ったが、教授は感心しながら見られている。
    その時まで自分で自分の作品を上手いとも思った事はなかったのだが、初めてその事を意識するようになったのである。

    褒め言葉ではないマイナスのイメージがあった「上手い」という言葉。

    私はこの時、開き直ってこう考えたのである。

    「確かに『上手い』と言うのはいいイメージではない。しかし今さら下手くそに作る事も出来ない。だったら『上手い』と言うのは私にとって武器なんだと思えばいい。まずこの世界で生きていくためには『上手い』なんてのは当たり前の話で、その先の表現の方が大事なんだ。だったらとりあえず『上手い』という世界も今のうちに極めてやろう。」
    これが学生の頃、考えた事である。

    お陰で今は自分が表現したいと思う形を、自由自在に作る事が出来るようになっている。
    あの時、はっきりと意識させられた、「上手い」という言葉。

    今はまったくそれを意識することなく私の手の内の一つとして活用している。
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    1. 2010/05/16(日) 16:55:01|
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