FC2ブログ

    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    セミ。

    木肌 撮影 松田光司

    もう3、4日くらい前からセミが鳴き始めた。・・・セミの声を聞くと、本格的な夏の始まりを感じる。


    今から書く事は、今年の話ではないのだが、ある意外な場所でセミの幼虫を見た時の話である。


    ・・・場所は林の中という訳でもなかったし、また、時間帯も夕方という訳でもなかった。


    朝8時ごろだったと思う、・・・街中のある通りを歩いている時の事であった。

    目的地に向かい、歩道を進んでいると、4~5メートル先に何か小さなものが、ゆっくりと這っている姿が見えた。

    『何だろう?』と思い近づいてみると、何とそれは、セミの幼虫だったのだ。

    『何故、夕方ではなくこの時間に?』そして『何故、この場所?』・・・と疑問に思った訳である。


    普通、セミの幼虫が羽化する時というのは、夕方、土から出てきて、夜の間に羽化し、成虫となるはずである。

    ・・・ところが、この時見たセミの幼虫は、朝、のこのことアスファルトの上を歩いていたのである。

    しかも、辺り一帯舗装されていて、近くに土は見当たらない。

    さらに、その幼虫が歩いて目指していた先に、木は一本もなかったのだ。


    この幼虫は、一体どこから来て、どこへ向かおうとしているのか?


    ・・・しかし、あらためて見てみると何なのだろうかこの幼虫、

    私の目の錯覚かもしれないが、何だか、間近に見た幼虫の目が、キラキラと光って輝いているように感じたのだ。

    『数年間、土の中で過ごし、やっとこれから羽化し、自由な大空に飛び立つんだ!』・・・と、セミが思っている訳もないのだが、私が勝手に感情移入して見ていたのであろうか、・・・何だか、歩みまで力強く見えてきてしまったのだ。

    『こいつ、このまま進んで大丈夫か?』と思いながらも、ふと、触れてはいけないような気持ちになったのである。

    ・・・と、言いつつ、文章に書くと長いが、実際には一瞬の出来事、・・・朝の急ぎの時間、セミの幼虫にかまっている余裕などなかったのだ。

    その後の事も気になりつつ、その場を足早にあとにしたのだ。


    ・・・結果は、その数日後にその同じ場所で知る事になる。


    ・・・そこには飛び立つ事のなかった幼虫のままのセミが無造作に転がっていた・・・、


    もしかしたら、数年前にはこの場所も、アスファルトで固められていない柔らかい土があったのかもしれない、そして緑あふれる豊かな場所であったのかもしれない、
    ・・・と、また勝手に想像しつつ、また、何とも言えない心苦しさも感じつつ、その場を足早にあとにしたのであった。
    スポンサーサイト



    1. 2011/07/16(土) 23:40:11|
    2. 日常
    3. | トラックバック:0
    4. | コメント:0
    <<久々登場、エムさん。 | ホーム | 昔の知り合いに、・・・。>>

    コメント

    コメントの投稿


    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    トラックバック URL
    http://mitsuji415.blog28.fc2.com/tb.php/448-1725325a
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)