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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    手仕事。

    ペンチ 撮影 松田光司

    毎年、学生を教えていて、『えっ!』と思うことが色々ある。
    それは別に、彫刻の専門的な事を教えていて、・・・という訳ではない。


    例えば、2年前まで専門学校でやっていた彫塑・石膏取りの授業。

    これはまず芯棒を組むところから始める訳である。

    最初に、板とアングル固定のため、ドライバーを使うのだが、・・・何とネジを留める段階から四苦八苦している学生がいたりする。

    次にノコギリ、・・・やはり木の固定の仕方がうまくいかず、思う通りに切れない学生がいたりする。

    そして、しゅろ縄を使い、木と木を動かないように固定する訳だが、・・・力の入れ方が分からず、ゆるゆるにしか巻けない学生がいたりする。

    要するにこういった作業を初めて経験するという学生が結構大勢いるという事なのだ。

    私も初めてこの授業を担当した頃は、軽く口で説明するだけだったのだが、やがて詳しく手とり足とり教えざるを得ないようになっていった訳である。
    (それでは学生の勉強にならない、という意見も出たが、モタモタした作業を待っていると正直、本題に取り掛かる時間がなくなってしまうという事情もあったのだ。)


    さて、さらに言うならば、道具の名前。

    彫刻ではノミを使う事が多いのだが、学生に「ちょっとノミ取ってきて。」と頼むと、「ノミって何ですか?」と聞かれたり、やっと持ってきたかと思うと「ミノ持ってきました。」と言われたり、・・・。

    まあ、まだノミというのは彫刻と無縁の世界に生きてきた人からすれば、特殊な道具なのかもしれないが、「ペンチ持ってきて。」と頼んだ時に「ペンチって何ですか?」と聞き返された時には流石に驚いてしまった。


    自分の感覚で言えば、図工や美術、技術家庭の授業で習ったから知っているという訳ではなく、作業的な事はいつの間にか出来るようになっていたし、道具の名前もいつの間にか覚えていたという感じなのである。

    自分を基準としてはいけないと思いつつ、毎年毎年、同じ事が繰り返されると、学生は作業が出来ないものなんだ、・・・みたいな感覚になってしまうのが怖い。

    とはいえ、もともと、何かしら創造する事を目的とした学校に来ている訳で、やがて学生も単なる作業には慣れていき、数年後には『おおっ!』と思えるような作品をつくるようになっていたりするのである。

    そんな数年後の未来を楽しみにしつつ、簡単な作業でも丁寧に教える講師陣なのであった。
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    1. 2011/05/10(火) 17:27:29|
    2. 日常
    3. | トラックバック:0
    4. | コメント:2
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    コメント

    ただただお疲れさまです。

    道具知らない時点で、ワシラの現場なら「なぐり」が飛んできます(^^;。
    どうせ、パシリも無理な段階。お帰り頂きますな。
    1. 2011/05/10(火) 19:03:59 |
    2. URL |
    3. こうだ #-
    4. [ 編集 ]

    Re: ただただお疲れさまです。

    学生だからこそ許されるって事、ありますよね。

    まあ、すぐに作業にも慣れてくれるのでそれほど
    心配もしていないのですが、最初は本当に驚きました。

    しかし、確かに社会に出てからもこれでは困りますね。
    1. 2011/05/11(水) 17:45:33 |
    2. URL |
    3. 具象彫刻家 #-
    4. [ 編集 ]

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