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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    この目で確認するまでは、・・・。

    庭の木の新芽 撮影 松田光司

    毎日、新聞では亡くなられた方の数、行方不明の方の数、避難者の数を伝えている。


    だんだんその情報を目にしても感覚が麻痺し、数字としてしか見ていない自分がいる事に気付き、ハッとさせられる。


    例えば、4月13日には「死者1万3232人」、次の日、4月14日には「死者1万3392人」となっている。

    1日の間に160人の死亡が確認されているのだ。すごい人数である。


    160人それぞれの家族や親族、友人、知人がその死を知る事になり、悲しみにくれた日となったのである。
    どれほど多くの人達がその死を悼んだ事であろうか。

    今でもかすかな望みを持ち続け、もしかしたらどこかで生きているかもしれないと信じ続ける家族や親族にとって、死が確認されてしまったその日が、その人にとっての命日に等しい日となってしまった訳である。


    私事ではあるが、昔、交通事故で母を亡くしたとき、「亡くなった」と、ただ聞いただけでは全く信用しなかった(というか、信じたくなかった)のだが、本当の意味でその死を認めたのは、実際に畳に横たわる母の顔にかかった白い布を、自分の手でそっと取り去った瞬間だったのである。

    あの時、私は、『まだ自分の目で確認できていない身内の死は絶対認められるものではない。』・・・という強い思い、感情が存在する事を、自分自身が体験してみて初めて知ったのだ。


    昨日は「死者1万4001人」、今日は「1万4063人」、あらたに62名の方の死亡が確認された。

    62名の方のご冥福を心よりお祈りするとともに、まだ数多くいる行方不明者の方が少しでも早く発見される事を切に願うものである。
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    1. 2011/04/21(木) 17:41:46|
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