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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    コンセプト。

    磐井川 みなも 撮影 松田光司

    ある卒業制作展の時、ある作品の前で聞こえてきた話。


    十数年前の事である。
    卒展の会場を歩いていると、ある作品の前でその作品の作者が、知り合いと思われる人に作品の説明をしていた。

    パッと見、抽象彫刻といった趣の作品である。

    別に話を聞こうとは思っていなかったのだが、何となく聞こえてきてしまったので、ついつい聞いてしまった。

    「この作品は、彫刻や工芸の連中とかがつくる作品と一緒のレベルでは見てほしくないんだよね。彼らのような作品と違って、形に深い意味があるんだ。この形がどーたら、こーたら・・・・。」

    まあ、コンセプトの内容は全く忘れてしまったが、大した内容ではなかった事だけは覚えているし、またそのコンセプトをその作品からまったく感じ取る事も出来なかった事も覚えている。

    学生だし、まあいいかと思いつつ、それにしても、他に抽象形態をつくっている連中が、何も考えずに制作していると思っている事に驚いてしまった。

    作り手にありがちな事だが、たぶん、良くも悪くも自分しか見えていなかったという事であろう。

    これは学生に限らず言える事だが、中途半端な形をつくり、中途半端なコンセプトを語られても、結局何の説得力も持たないのだ。

    それだったら、言葉に頼らない説得力のある形をつくるか、形に頼らない説得力のある文章を書くか、どちらか一つにしてくれと思ってしまう。

    その後、その場を去り、会場を一回りして、ふとその学生の方を見ると、次に来た知り合いにも相変わらず作品の説明をしているようであった。
    作品単独でみてもらうのが、不安でしょうがないのかなぁ・・・と私には思えてしまった。
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    1. 2010/10/20(水) 09:36:12|
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