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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    制作する上においての段取り。

    石膏取り割り出し途中のネコ 撮影 松田光司
    石膏取り 割り出し作業途中のネコ

    彫刻をつくるという仕事は、作品の核心にかかわる部分だけが重要な訳ではなく、単なる作業を作業としてこなさなければいけない部分もとても重要であるのだ。
    ここで絶対必要とされる能力、・・・・それが「段取り」というものである。


    実は私はこの「仕事の段取りをする」という能力を、父の仕事を通して徹底的に鍛え上げられた。
    父の仕事とは前にも書いたとおり、ブロック建築士の仕事。

    学生の頃は、休みになると必ず実家に帰り、休み中は毎日父の仕事を手伝ったものである。
    大学の時というのは、合計すると一年の内、半分近くが休みなので、かなりの日数手伝った事になる。

    内容はいわゆる「手元」と呼ばれるもので、補助的な作業すべてである。
    父がブロックを積んでいる間に、セメントを練り上げ、バケツで運び、常に父の元では切らさないようにする。
    また、ブロックを運び、足場を組み、鉄筋を切ったり曲げたり、後はブロックを加工しておく、等々、・・・・数え上げたらきりがないほどである。

    当然、最初の頃は訳が分からず、怒鳴られながらの作業であったが、さすがに学習はするものである。
    大学2年か3年の頃には、手元も完璧にこなせるようになっていく。

    父がブロックを積んでいる場所から全く動かなくてもいいように自分が動き、また父が一切指示を出さなくてもいいくらいに先回りした行動をとる、・・・・それを当然のようにこなすようになっていったのである。

    その結果、ある時こんな事があった。
    父がその場を離れなくてもいい状態であるはずなのに、何と父がその場を離れようとするではないか。
    『んっ!何故その場を離れるのか?全てそろっているはずなのに、何か見落としたか?』と思い、
    すかさず私は、父に厳しく問い詰めるように、「お父さん!何っ!! 何でその場所を離れるの?」

    ・・・・と、そこで父の一言。

    「トイレくらい行かせてくれよ。」

    ・・・さすがにそれは私も代わりには出来ない。思わず二人とも苦笑い。


    まあこんな経験もしつつ、この時期に養ったこの「仕事の段取りをする」という能力は、今現在、見事に彫刻の仕事に役立っている。
    こんな経験をさせてくれた父には心の底から感謝である。
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    1. 2010/10/08(金) 22:27:58|
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