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    彫刻家 松田光司のひとりごと―思いつくまま―

    彫刻の制作をしながら日々思いつくことを書きとめる。

    雨のにおい。

    雨  撮影 松田光司

    雨が降り出す前に「わぁ、雨のにおいがしてきた!」というと、今の人たちはどういう反応を示すのであろうか?




    私は愛知県の春日井市という所で生まれ育ったのだが、幼い頃はまだ家も少なく、小さな森や田んぼ、畑が周りにいっぱいあるような所であった。

    そんな環境で育った私が、東京に出て来て、大学の友達の前でこの言葉を発した時、その友達に大笑いされてしまった。
    「ハッハ、何いってんの松田?頭は大丈夫か!」

    頭は大丈夫である。・・・というか、『おまえは雨の降りだす前のにおいも分からないのか?』と思ってしまったものである。

    雨が降り出す気配と言うのは、当時、目だけでなく五感すべてを使って感じていたのだと思う。

    目で雲の動きをとらえ、肌で湿った空気を感じ、耳で一斉に鳴き出すカエルの声を聞き、風の中に混じる、土と草木のにおいを鼻とのどの奥で感じ取る。・・・これらを総称して「雨のにおい」と感じていたのだ。

    今思えば、それを感じ取る事の出来る環境も全然ちがったのであろう。

    だが、この当たり前と思っていた能力だが、いつの頃からであろうか、・・・雨の気配を感じ取るという事そのものを、私の中ですっかり忘れてしまっていたのである。

    久しくその「雨のにおい」を感じていない。それこそ、私の頭は大丈夫か?と思ってしまう。

    環境もそうなのかもしれないが、やはり私の感覚が鈍っているのであろう。

    しかし、こうして文章に書きながら、その「雨のにおい」に思いを巡らせると、あの時、体全体で感じ取った感覚がハッキリと私の五感の中に残っている事に気づかされる。

    多分、まだ大丈夫なんだ、・・・と思おう。
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    1. 2010/07/30(金) 11:57:39|
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